NTproBNP

NTproBNP とは 心臓 から 分泌 されるホルモンの 一種 で 、
心臓 の 機能 が 低下 して 心臓 への 負担が大きくなるほど 血液中 に 多 く 分泌 され 、
数値 が 高 くなります 。
心臓疾患を 検出 する 方法 としては 、心電図検査 が 広 く 行 われていますが 、
心電図検査 だけ で は検出できない 場合 も 多々 あり 、
心電図 に 現 れて いない 「 心不全 の 危険度 」 を 知 る 目安 となります 。
心電図検査と NT proBNP の 両方 を 行 う ことにより 、
より 心不全 を 検出 する 感度 が 上 がること も
報告されて いますので 、 心 疾患 が 心配 な 場合 は 一度 NT proBNP 値 のチェック をお 勧 め します 。
高血圧や 高脂血症 、 糖尿病 などの 生活習慣病 をお 持 ちの 方 をはじめ 、
喫煙 される 方 、 肥満 傾向の方 、 動悸 や 息切 れ 、 胸 の 痛 み 夜中 に
息苦 しくなるなどの 症状 のある 方 には 、 特 にお 勧 めします 。
NTproBNP は 、 心臓 への 負担 の 程度 を 大 まか に 知 る ことができる 検査 ですので 、
心 不全 の 原因と
なる 病気 の 診断 には 、 別 の 血液検査 や 心臓 超音波検査 、
心臓 カテーテル 検査 、 運動 負荷 検査 や核医学検査 などが必要 になることがあります 。

BNPとNT-proBNP

ナトリウム利尿ペプチド

B型(または脳性)ナトリウム利尿ペプチド(BNP)とN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)は
心筋細胞から分泌され、健常人の場合、非常に低い濃度で血中に存在しています。
心疾患の多くや、特定の非心臓性疾患がある場合、濃度の上昇がみられます。
臨床的には、BNPあるいはNT-proBNPの測定は、両方とも心不全の診断に有用です。
ある研究によれば、NT-proBNPの体外安定性はBNPよりも高いことが示唆されていますが、
検査の診断価値は同等です。

BNP・NT-proBNP -生理学的背景

BNPは、proBNPと呼ばれる、BNPよりも大きなペプチド(ホルモン前駆体)に由来する心臓ホルモンです。
このホルモン前駆体の大部分は心臓の筋肉細胞(心筋細胞)内で産生されます。
proBNPは、108のアミノ酸で構成されるペプチドで、酵素により分解されます。
この酵素作用による2つの生成物が、32のアミノ酸で構成される活性ホルモンのBNPと76のアミノ酸で
構成されるNT-proBNPです。心筋細胞内におけるproBNPの合成と、循環系へのBNP・NT-proBNPの放出は、
血圧・血液量の増加に起因する心臓壁ストレスにより生理的に引き起こされます。

BNP・NT-proBNPの検体採取

BNP測定においては、血液をEDTAで抗凝固処理する必要があります。
測定は、このEDTAサンプルから得られる血漿、または全血サンプルで直接行うことができます。

NT-proBNP測定には、血清または血漿(EDTAまたはヘパリンで抗凝固処理)が適切です。
EDTAおよびヘパリン処理された全血も使用可能です。

検査結果の解釈

BNP・NT-proBNP濃度は、pg/mL、ng/Lまたはpmol/L単位で表します。
1 pg/mL(またはng/L)BNPは0.289 pmol/L BNPと同等です。
1 pg/mL(またはng/L)NT-proBNPは0.118 pmol/L NT-proBNPと同等です。

健常人のBNPとNT-proBNP

BNP・NT-proBNPは両方とも年齢と共に上昇し、性別によっても顕著な差異があります。

心不全診断用のBNPとNT-proBNP

心不全は、通常、心室機能障害のために、心臓が十分な血液量を送り出すことができなくなる一連の臨床的症候群です。
心拍出量の低下した患者は、多くの場合、安静時や労作中の息切れ(呼吸困難)、疲労を呈示します。
これは、主に高齢者によくみられる、慢性的かつ進行性の消耗性疾患です。
一般人口における心不全の有病率は0.8~2.0%ですが、70~80歳人口における有病率は10~20%です。
冠疾患の既往(心筋梗塞の病歴)が群を抜いて頻度が高い原因であり、
他に慢性高血圧症と糖尿病が原因としてあげられます。主症状、臨床所見、心電図(ECG)、
胸部X線写真の結果から心不全が示唆されることがありますが、こういった方法による臨床的評価は、
各々が心不全に特異的とは言いがたく、感度が不十分です。
「ゴールデンスタンダート」となる診断は、最終的に心臓の画像診断、
たいていの場合は心臓エコー検査に頼らざるを得ません。

心不全は心室壁が伸展し、その結果としてBNP・NT-proBNPの循環濃度が上昇します。
濃度と心不全の重症度の間には相関関係があります。
この事実に基づき、適切な診断カットオフ値を用いて検査を行うことで、
最終的には心臓エコー検査に頼らずに心不全の除外診断の助けとなります。

カットオフ値

欧州心臓病学会(ESC)は、急性期において、急性発症または症状の悪化のみられる患者の心不全を除外するために、
以下のカットオフ値を勧告しています:

   BNP <100 pg/mL
   NT-proBNP <300 pg/mL

急性期ではない患者の場合、推奨カットオフ値は低くなります。

   BNP <35 pg/mL
   NT-proBNP <125 pg/mL

英国のガイドラインおよび日本心不全学会ガイドラインでは、
急性と非急性の症状は区別されておらず、全患者に対して以下のカットオフ値を使用して、
心不全の可能性を除外するよう勧告しています。

   BNP <100 pg/mL
   NT-proBNP <400 pg/mL

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Last-modified: 2021-03-17 (水) 21:39:00